みなさんこんにちは、こんばんは。
今までつらつらと税金ってなに?を基礎編としていろいろ解説してきました。
税法はほんとうに複雑で毎年改正があるのに、生きていく上で必要なことだろうとみなさんに知っていて当然でしょ?と当然のように強要してきますよね。
その顕著となるものが私は確定申告だと思っています。
毎年よくわからないままに、言われるがままに申告している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
知らない人は税理士に相談してね?と丸投げ体制の状況が良くないなあと私は常に思っています。
たしかに事業をやっている人は、税理士にお任せした方が楽かもしれません。
ですが、最低限の基礎はやっぱり理解しておかないと、結局は最終的な責任は自分になりますし、損をすることも多いかと思うので、この税講座シリーズを見ていただいて、理解もしくは復習をするうえでの手助け、そして、
効率的な事業運営と経費削減、税務調査対策に役立ててくれたらいいな、と思っています。
前説が長くなりましたが、ということで今回はいよいよ「確定申告書の書き方」について何回かに分けて解説していこうかと思っていますので、お付き合いください。
確定申告書の用紙は大きく分けて2種類ある
確定申告書の様式は大きく分けて2種類あります。
それは、A様式とB様式です。
A様式は別名「簡易様式」とも呼ばれており、
B様式と比較をすると、その名の通り、中身が「簡易的」になっており、見やすくなっています。
また、申告書の枚数も少ないです。
A様式は、お給料をもらっている方、年金をもらっている方等が使用することを想定して作られています。
副業をされている方も、規模によりますが、こちらに該当する可能性もあるでしょう。ここは、追って詳しく解説していきますね。
B様式は「個人事業主」向けです。自分で事業を行なっている方や不動産収入、株の売買、農業等行なっている方向けです。
なので、A様式よりもちょっと複雑ですし、枚数も多いです。
申告書を書くのにも時間がかかるでしょう。
B様式で申告する方は、税理士にお願いしている場合も多いかと思います。
また、A様式とB様式での最大の違いは特典でしょう。
B様式で、ある一定の要件をクリアすれば、税金を安くすることができる、「税額控除」なるものがあります。
さらに、どこかの所得が赤字であればそれを他の所得でカバーして、税金をお安くできたり・・・と様々な恩恵が得られます。
でもそう言った特典を受ける = それなりの知識がいるよってことにつながるので、そういった意味でも、やっぱり最低でも確定申告書の作りだけでも理解してもらいたいなあ、と思います。
A様式とB様式の用紙紹介
まずはそれぞれの様式をご確認ください。
A様式


B様式


見てのとおりB様式の方が細かいし、難しいなあと思われるのではないでしょうか。では、説明に入りましょう。
1表と2表とは
A様式とB様式の共通の様式である、1枚目と2枚目のカラーの様式について簡単に説明すると、
1枚目が結果
2枚目が1枚目の内訳とか根拠を示す内容になっています。
さらに人によっては3枚目、4枚目と増えていきますし、
個人事業主だと、損益計算書だとか貸借対照表とかだとかが増えますが、
記入する量が増えても、
1枚目は結果、結論であり、
それ以降は内訳、根拠を示す書類になります。
ちなみに呼び方は第1表、第2表・・・と呼びます。
書面の右上に小さく書かれていますので、チェックしてみてくださいね。
第1表の所得を解説
それでは、1表の左上、所得の種類を解説していこうと思います。
自分はどこに該当するのかなあ、と考えながらご覧ください。
では、B様式を抜粋したもので確認していきましょう。

ここの欄にその年の1〜12月の1年間の収入と所得を記入します。
収入と所得違いってなんだっけ?と思われる方は、こちらの記事もどうぞ
では、それぞれの所得の説明をしていきます。
①事業所得
事業所得には、大きく分けて2種類あります。
営業等所得
● 卸売業、小売業、飲食店業、製造業、建設業、 金融業、運輸業、修理業、サービス業など のいわゆる営業
● 医師、弁護士、作家、俳優、職業野球選手、 外交員、大工などの自由職業
● 漁業などの事業 など が該当してきます。
農業所得
● 農産物の生産、果樹などの栽培
● 養蚕、農家が兼営する家畜・家きんの飼育
● 酪農品の生産 など が該当します。
つまり、個人で何かしらの事業を行なっていて、金銭のやり取りが発生するものがここに該当すると考えればいいと思います。
なので、YouTuberやアフィリエイター等のフリーランスも事業所得に該当してきます。
ただし、もう一つ条件があって、それは、
その事業は継続的に行えているものなのかどうか。
ここが、この事業所得に入ってくるか来ないかの分かれ目になります。
また、事業所得で申告する場合は、別の用紙で事業を始める際にあらかじめ税務署に届け出をしなければなりません。
この部分については、注意点も踏まえて、別途深く掘り下げていきたいと思います。
不動産所得
土地や建物、不動産の上に存する権利、船舶、 航空機などの貸付けから生ずる所得 が該当します。
土地の売買、アパートやビルの賃貸をしている人がおそらく多いのはないかと思います。
利子所得
ちょっと特殊ですけど、
国外で支払われる預金等の利子など国内で源泉徴収されないものや、
同族会社 が発行した社債の利子で、その同族会社の判定の基礎となった株主等が支払を受けるものなどによる所得 が該当します。
配当所得
株主や出資者が法人から受ける剰余金の配当や、投資信託(公社債投資信託及び公募公 社債等運用投資信託を除く。)の収益の分配 などの所得が該当します。
株をやっている方はこちらになりますが、
※ 上場株式等の配当等(大口株主等が支払を受けるものを除く。)に係る配当所得については、申告分離課税を選択することができたりするので、必ずここに該当するわけではありません。
給与所得
俸給、給料、賃金、賞与、歳費やこれらの性質を有する給与に係る所得が該当します。
これは皆さんおなじみですね。
給与所得って何?という方は、こちらの記事もどうぞ。
雑所得
他の所得に当てはまらない所得をいいます。
これも大きく分けて2種類あります。
①公的年金等
国民年金、厚生年金、恩給、確定給年金等付企業年金、確定拠出企業年金、一
定の外国年金 など
いろいろありますが、年金を受給されている方はここに該当します。
②その他
原稿料、講演料、印税、放送出演料、 貸金の利子、生命保険の年金(個人年金保険)、互助年金 などが該当します。
実は、ここがフリーランスの方にとっては重要な部分で、
自分が上で記載をした、事業所得になるのか、この雑所得のその他の部分になるのかを自分でジャッジせねばなりません。
ということで、フリーランスの方向けの申告の判断、方法についてはまた別途説明いたします。
譲渡所得
ゴルフ会員権や金地金、船舶、機械、特許権、 漁業権、書画、骨とう、貴金属などの資産 の譲渡から生ずる所得
譲渡した資産を取得してから譲渡するまで の保有期間により、短期と長期に分けられます。
①短期
保有期間が 5 年以内の資産の譲渡
②長期
保有期間が5 年以上の資産の譲渡
一時所得
臨時・偶発的なもので対価性のない次のような所得をいいます。
● 賞金や懸賞当せん金、競馬や競輪の払戻金
● 生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金
ちなみに宝くじは税金がかからないようになっていますので、
当選しても申告しなくていいんですよ。
最後に、参考までにA様式で見てみましょう。

A様式だと申告できる所得の数が少なくなっていますよね。
事業所得などがありませんので、個人事業主向けではないことが分かります。
なので、A様式は、お給料や年金をメインでもらっている人向けで、
B様式は、個人事業主や土地とか建物を売却した等自分でいろいろと行なっている方向けの申告書になりますので、
申告する際は、間違えないようにしてくださいね。
まとめ
確定申告書の様式の違いは分かりましたでしょうか?
また、自分が何の所得に該当するか考えられたでしょうか?
1表の後編では、税金を安くしてくれる、「控除」について説明していきます。
